頭がどんどんおかしくなっていく。
訳もわからず涙がどばどば流れ、あしたせかいが終わるみたいなきもちからずっと抜け出せずにいる。

真夜中に地震があった。震度4の揺れで、震源地は千葉県北西部だった。
今まで震度4以上の地震を経験したこともあったし、それでも地震に対してそこまで特別な恐怖をいだいたことはなかった。いつも大丈夫だろうと考えていた。それなのに、昨夜の地震がとてつもなくこわかった。たった震度4の地震が。
こわくて、こわくて、どうしようもなく心細くて、愛おしいひとに連絡しようかと携帯電話を取ったけれど、指がうごかなかった。しばらくしてそのまま携帯電話をベッドにふせた。
まぶたをじっと落とし、愛おしいひとたちを思い出す。愛がこわかった。愛することも愛されることもとてつもなくこわい。地震とおなじくらいに。

どうしてこんなふうになってしまったんだろう。いつからこんなに弱くなってしまったんだろう。
あの頃、向こう見ずに愛を与え続けられた。手のひらから無限に溢れだす宝石みたいに、ひかりの束を渡し続けていられた。愛されなくても。愛おしいひとがわたしじゃない別の女のひとのいる場所に帰っていっても。

熱いココアをいれる。
ココアはいつだってわたしを頑丈に抱きとめてくれる。
白い煙のような湯気はくちびるに触れたつぎの瞬間には冷えてどこかへ消えてゆく。涙でにじむ熱く冷たい煙を見つめる。愛おしいひとに今すぐに会いにゆきたかった。