雨が降った

だいすきなものがわたしを壊すのではなく だいすきなものをだいすきとおもうわたしの感情がわたしを壊していくのだろう

はな唄をうたった

ひとびとが寝静まった真夜中の道を照らす街灯は だれのためのものなのかな
午前3時 はだしのまま出たマンションの屋上から街中に散らばったちいさな白いひかりを見つめた
あるべき感情とあってはならない感情のすきまに腰をおろしてスカートの裾のしわばかりを気にしていた
かたく結んだはずの糸がほどけてしまうとき いつも雨のはじまりのにおいがする 

冬のくだもの

ほんとうのなまえなんてひとつなんだからわたしは何もこわがることなんかなくて、月がきれいとか あの子がわらってくれるのがうれしいとか それだけでいいじゃないか
かじかんだ指先の温度でゆっくりと溶けるチョコレート わたしのなまえを呼んで