散る

きもちがことばにうまくついてゆかなくて 白紙の頁にそっとくちびるをつける日々
夜空に流れる飛行機のあかりとか アパートのドアにこぼれた光と影のかたちとか 隣を歩くひとの懐かしい香りとか そういうものをひとつひとつまぶたの奥で標本にする
すれちがう夜風に冬のにおいがして胸がくるしい