銀のフォーク

おおきな河のずっとずっと遠くの向こう岸にあのひとはいて、降水確率90%の雨のにおいに心をうつしたこと
ふたりの間に横たわる薄っぺらい関係性が長く着古したセーターの袖についた無数の毛玉みたいに暮らしのいたるところに散らばっていて、青空に顔をあげるたびそのひとつひとつを殺していった

アイスティーとチョコレートケーキ、絵に描いたような子どもだましの未来、
暗闇の中だけでひっそりと息をするひかりのくずは
愚かな僕たちのかたちをまぼろしに変える