海辺

性に対する嫌悪も恋に対する憎悪も増すばかりで、美しくみせかけた下品な香りの色にはもう二度と触れたくない、道行く恋人たちを見るたびに敷き詰められた針の上を裸足で歩かされるような気持ちだ
手を繋ぎ歩くふたりを見るたび彼と彼の恋人をおもう しかしそれはつまりわたしがまだ彼を忘れられずにいるということであり、ただわたしは現実を受けいれたくないだけなのだ 彼が他の女の人と暮らしていることも、わたしたちが一緒にいたあの日々の中でわたしが彼の恋人だったことは一瞬さえなかったという事実も
恋なんてただの性欲の成れの果てよ と わたしの中の少女が泣きながら笑う