致死量

1本の髪がはらりと肌から落ち持ち主がわからなくなった瞬間に一気にそれは汚いと判断され、あってはならないものへと変化する
うつくしい少女がひたすらに命の実を食べるだけの画集をぼうぜんと眺める、食べることは生きることに直結する、もし殺すことも生きることへつながるとしたらそこにひかりはあるのだろうか

息をするために殺したひとびとと生き残るひとびと
恋や愛が無意味な欲望だと、わたしは知ってしまった
知ることこそが命をどんどん息苦しくさせる要因なのに 心の窒息死は死因として認められないのがこの星のうつくしいところでしょう
せかいがわたしのものじゃないことくらい 初めからずっと知っていたよ