たいせつなひとに贈るじぶんがいちばんにすきな本は 何よりもうつくしい手紙だとおもう
切れはし
だいじょうぶ と すきだよ を繰り返しとなえてほしいという願望
なんてちっぽけで くだらないのだろう
そういうすかすかのがらくたみたいな偽物の希望を
薄汚れたきもちで まるめてゴミ箱にすてたい
それでも 愛されたいと泣いて
頑丈な 金属みたいな愛情にあたまをなでられたかった
生きていてもいいと ぼくをゆるしてほしい
かすり傷
すきだった男のひととの破綻が完全に確定した夏に髪を脱色して金色に染めたこと、万が一街ですれ違ってもわたしだと彼に気づかれないようにすること、これがそのときのわたしにできる精一杯の復讐だったなんてほんとうに小さすぎてばかみたいだけど、わたしはほんとうに必死だったんだ 彼とのことはもうずっとむかしのことなのに、わたしは今でも月を見るたび彼を思い出してしまう 下を向いて歩く
すこやか
母の幸せはわたしが幸せになることで、わたしの幸せは母が幸せになること
わたしが幸せにならなければわたしも母も幸せになれないのに、わたしはわたしにとっての幸せがずっとわからなくて、こうしてわんわん泣きながらスーパーにゆき意味わからないサンリオのチョコレートを買っているなんて母が知ったらきっと泣いてしまう
欠片
大切なものができるたび心臓にまたひとつ重石がつき 旅の終わりから少しずつ確実に遠ざかっている
生きることが正しいことで 生きることをやめることが間違っているなんて ほんとうにそうなのだろうか
感情が死んでも それをいれるうつわは呼吸をくりかえす
わたしにとっての生命維持装置のようなひとびと
心が重すぎてわたしはこの星から旅立てない
わたしはわたしを救うために もう誰も愛したくない
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