たいせつなことを忘れていないか、記憶の箱の中をたびたび点検する 白色の四角い箱からそっと両手で取り出して、さまざまな角度からながめ、香りをかぎ、温度を確認し、また元の場所に戻す だからわたしはあのひとをずっと忘れていないし、自分にかけた呪いがとけないのはまぎれもなくわたしのせいだ