中央線

辛口のジンジャーエールを飲んだら舌がひりひりした
点滅する青とピンクのネオンを見つめている
いつだって泣きたいのに涙がでない
ひかりの中に身投げしたい

愛の手

5年ぶりくらいに煙草に火をつけて、ぜんぜんおいしくないけど燃えるひかりはすごくきれいだった

手で触れられる火があったならどんなにすてきだろう
真冬のコンクリートのような温度の火があったなら、かならず指輪にする
そしていつも人指し指にはめて ちらちらと灯る火の中にとどめておきたい感情をとじこめて冷たい標本にして葬りたい

千切れる

海の見える駅のホームのベンチで読書をした
だいじに両手でつつんでいたことばをすきだった頃のじぶんを全く思い出せなかった
あの頃おもっていたよりもわたしはもっとずっと遠い未来を生きてる

花の写真を送り合う恋

サブレシトロン

伸ばしている髪がすごくながくなった
背中まで達する頃には どうかふたりのあいだにきれいな宝石が生まれていてほしい
さいきんまた泣いてばかりいる

ラジオ

うつくしい横顔のおとこのひとと喫茶店でピンクのクリームソーダを飲んだ
約束も待ち合わせもできなかったわたしが今こうして何度もあたり前のようにくりかえし他人と日を重ねている
うつろいの中 真珠で静かに手を洗うような日々

一編

音楽のような言葉をうたうひとたち