「すきなのにどうして家族になれないんだろう」
電話越しに母に泣いた
すきなのに家族になれないなんてそんなのぜったいにおかしくて 運命をただまっすぐに呪った
でも、たとえ家族になれなくても わたしは恋人をすきで、だいすきで、たいせつで、いちばん幸せになってほしくて、あたしはあたしのこの一粒も嘘の混じっていない感情を透明な宝石にして彼にプレゼントしたい
愛だけで何もかも乗り越えられたらいいのに
でもそんな夢みたいなことはない
それをあたしはちゃんと知っている
「すきなのにどうして家族になれないんだろう」
電話越しに母に泣いた
すきなのに家族になれないなんてそんなのぜったいにおかしくて 運命をただまっすぐに呪った
でも、たとえ家族になれなくても わたしは恋人をすきで、だいすきで、たいせつで、いちばん幸せになってほしくて、あたしはあたしのこの一粒も嘘の混じっていない感情を透明な宝石にして彼にプレゼントしたい
愛だけで何もかも乗り越えられたらいいのに
でもそんな夢みたいなことはない
それをあたしはちゃんと知っている
汚れた気持ちから全く這い上がれないまま美容院に行き、髪を切り色を抜いてもらう
髪をきれいに整えてもらっても帰りの中央線の窓ガラスに映る自分はほんとうに醜くて涙すらでなかった
いつからこんならふうになってしまったんだろう
愛され方をすっかり忘れてしまった
誰も知れないまちへ行きたい
わたしのことを知るひとがいない海辺のまちで花を売って暮らしたい
うさぎを眺めながら部屋であたたかいカフェオレを飲む
何を信じていいかわからず 必死に記憶をたぐりよせるけど それさえも掴んだ先から霧のように冷えて消えてゆく
まあるい心がほしい
海が見たい
どうして大切なときに一緒にいるのがわたしじゃないのだろう
どうしようもないことはどうしようもないのに膝を抱えて夜明けを待つことしかできない
このせかいのどこにでもひかりは潜んでいるということを忘れてはだめ